ゲンクの街を歩くと、伊東純也について尋ねた人のほとんどが、同じような表情を見せるのだそうです。「彼が移籍してしまった時は本当に残念だったから、戻ってくるとわかって本当にうれしかった」。取材で出会ったサポーターの言葉です。祖母がクラブの立ち上げに携わったという40代のサポーター、ダビッドさんは、こう付け加えています。「ジュンヤみたいなベテラン選手がいてくれるのはありがたい」。
伊東純也は1993年3月9日生まれ、神奈川県横須賀市出身。鴨居SCでサッカーを始め、横須賀シーガルズジュニアユース、県立逗葉高校を経て、2011年に神奈川大学へ進学しています。決してエリート街道を歩んできたわけではなく、大学卒業後の2015年にヴァンフォーレ甲府でプロデビューを果たしました。柏レイソルでの活躍を経て2019年にベルギーへ渡り、KRCゲンクでプレーしたのが、このクラブとの最初の縁です。当時はアシスト王のタイトルも獲得し、2022年にフランスのスタッド・ランスへ完全移籍。そして2025年8月、3年契約・背番号10で、3年ぶりにゲンクへ復帰しました。
「期待外れ」と言い切れる強さ
復帰1年目のシーズンについて、伊東は「全体的に見て、期待外れ」と、自分自身に対して率直な評価を口にしています。派手な自己主張をしない、落ち着いた性格の選手だと言われる伊東ですが、こうした場面では言葉を濁さないところがあるようです。それでも2026年5月には残留を宣言し、「もちろん、今シーズンの結果には満足していません。しかし来シーズンにタイトルを目指したいという気持ちに変わりはありません」と語っています。契約は2028年6月まで残っており、2026年8月末の欧州移籍市場でも、この時点で確認できる範囲では移籍の動きは見られませんでした。
プレーの武器は、生まれつきのスピードに乗せた高速ドリブルと、緩急の使い方です。サイドからの正確なクロスと、左足でのシュートで得点にも絡み、守備でも積極的なプレスバックを見せる。攻守にわたって計算できる選手として、ゲンクでもランスでも重宝されてきました。1月22日にスタメンへ復帰して以降、チームが公式戦5勝1分と無敗が続いたという事実も、ピッチの外の評判だけでなく、実際の勝敗にもその存在感が表れていることを示しているように思います。
「おらが街のエース」として
ゲンクの人々にとって、伊東はここ数年のクラブに輝きを与えてくれている、いわば「おらが街のエース」のような存在なのだそうです。33歳という年齢は、キャリアの終盤にさしかかっていることを意味しますが、本人が語る「タイトルを目指したい」という言葉には、まだ先を見ている選手の姿があります。横山歩夢をはじめ、若い日本人選手たちがこのクラブに加わっていく中で、伊東がどんな形でチームを支えていくのか。ゲンクというクラブと彼の物語は、まだ続いているようです。
出典:Wikipedia日本語版「伊東純也」、サッカーキング、時事ドットコム、東スポWEB、footballista、Football Tribe Japan、日本経済新聞。2026年9月時点で確認できる範囲の情報です(2026年8月31日の欧州移籍締切後、状況が変わっている可能性があります)。