2026-27シーズンの1部に、ロンメルSKとKVコルトレイクが上がってきました。順位表を眺めていて、ふと気になったことがあります。この二つのクラブのオーナー欄にあるのは、ベルギーの名前ではありません。ロンメルはマンチェスター・シティを擁するシティ・フットボール・グループ、コルトレイクはアメリカの実業家カミンスキ氏の一族です。
このサイトでは以前、ベルギーリーグを「育てて売る」が回る経由地として見てきました。ただ、それだけでは説明しきれないクラブが、ここ10年ほどで増えている。今回は、クラブの「お金の入り方」が二つに分かれてきた流れを、一緒にたどってみたいと思います。
一つ目の顔:アカデミーが稼ぐクラブ
KRCヘンクのアカデミーからは、クルトワ、デ・ブライネ、ベンテケ、トロサールといった顔ぶれが育っていきました。クラブ・ブルージュも、2024年にスイスから加入したアルドン・ヤシャリを、翌2025年夏に3000万ユーロを超える移籍金でACミランへ送り出しています。国内クラブからの移籍では史上最高額級だったと報じられました。
共通するのは、経営の主体がベルギー国内にあることだと思います。ブルージュは2021年にアメリカの投資会社オーキラ・キャピタルへ株式の一部を売却していますが、経営権が移る話ではなく、少数株の受け入れでした。「地元が持ち、育てて、売った利益で次を育てる」という基本形は変わっていないように見えます。
二つ目の顔:外から資本がやってくるクラブ
もう一方の流れは、2017年ごろから加速しました。この年、OHルーヴェンはレスター・シティを持つキング・パワー(タイ)の傘下に入り、シント=トロイデンはDMM.com(日本)に買収され、セルクル・ブルージュはASモナコのオーナーであるリボロフレフ氏が過半数を握りました。翌2018年にはユニオン・サン=ジロワーズがブライトン会長トニー・ブルーム氏の下へ、2020年にはロンメルがシティ・フットボール・グループへ、2022年にはRWDモレンベークがジョン・テクスター氏のイーグル・フットボールへ。
並べてみると、オーナーの多くが「ほかの国のクラブも持っている」ことに気づきます。CIES(国際スポーツ研究センター)の調査でも、2019年から2023年の5年間で、調査対象リーグの中でベルギーが最も多くの海外投資を受け入れた国だったとされています。
なぜ、ベルギーが選ばれるのか
理由は、このサイトで見てきた構造と重なります。外国籍選手の枠がなく、五大リーグから近く、しかもクラブの値段がイングランドやドイツよりずっと手が届きやすい。そうすると、大きなグループにとってベルギーのクラブは「若手を欧州に慣らす場所」として都合がよいのではないでしょうか。
資本が来れば、強くなるのか
ここが、私が一番考え込む部分です。ユニオンは、ブルーム氏の後を共同投資家のアレックス・ムジオ氏が引き継いだ体制で、2024-25シーズンに90年ぶりのリーグ優勝を果たしました。一方で、KVオーステンデは2020年にアメリカのパシフィック・メディア・グループ主導の投資グループに買われたあと、2024年6月に破産しています。スタンダール・リエージュは2022年にアメリカの777パートナーズの傘下に入りましたが、777自体が2024年に経営破綻し、2025年にジャコモ・アンジェリーニ氏率いる新会社へ売却されるまで落ち着かない時期が続きました。RWDモレンベークも、2026年春に親会社が管財人の管理下に置かれ、売却対象になったと報じられています。
同じ「海外資本」でも、結果はこれだけ違う。だから私は、「育成型が正しい」「資本型は危うい」といった単純な線引きは、あまり意味がないのではないかと感じています。
二つの顔は、混ざりはじめている
そもそも、きれいに二つに分かれているわけでもありません。ブルージュは地元経営のまま少数株を外に開き、海外資本のユニオンやシント=トロイデンも、若手を育てて売る回路をきちんと持っています。「誰のお金で回すか」と「どう選手を育てるか」は、別々の軸なのかもしれません。
次にスタジアムへ行くとき、そのクラブの「お金の入り方」にも少し目を向けてみたい。そうすると、順位表の向こう側の景色が、もう一段深く見えてくるのではないかと思っています。