「結局、去年ベルギーの1部から落ちたのはどこだったの?」——今年の春、日本の友人にそう聞かれて、私は一瞬答えに詰まりました。2025-26シーズンの1部には、自動降格がひとつもなかったからです。最下位のクラブが2部のプレーオフ勝者と2試合を戦い、そこで初めて来季の居場所が決まる。だから「落ちた」と言い切れるクラブは、5月の終わりまで存在しなかったのです。
そうすると、ベルギーの昇格・降格は毎年こうなのか、それとも去年が特別だったのか。Jリーグと並べながら、階段の段数から数え直してみたいと思っています。
まず、階段の段数を数えてみる
ベルギーのリーグは、上から順にこう重なっています。
- 1部:ジュピラー・プロ・リーグ(2026-27から18クラブ)
- 2部:チャレンジャー・プロ・リーグ(2026-27は15クラブ、うち4つは1部クラブのU23チーム)
- 3部:ディヴィジョン1——ここから言語圏別に分かれ、フランドル側(VV)とフランス語圏側(FFA、2026年4月までの旧称ACFF)の2グループ
- 4部:ディヴィジョン2、5部:ディヴィジョン3、そのさらに下に州リーグ
プロとアマチュアの境目は2部と3部の間にあります。J1・J2・J3がすべてプロで、JFLから下がアマチュアという日本の構造に置き換えると、ベルギーのプロの階段はJリーグより1段少ない、という見方ができそうです。
2026-27から、1部はぐっとシンプルに
2009年から17シーズン続いた1部のプレーオフ制度は、2025-26で幕を閉じました。2026-27からは18クラブのホーム&アウェー総当たりで順位が決まり、下位2クラブがそのまま2部へ降格します。欧州カップの出場権も、レギュラーシーズンの順位で決まる形になりました。
この改革はProリーグ加盟クラブの投票で決まったのですが、報道によれば賛成34票というわずかな差だったそうです。試合数が減って冬に2週間の休みが取れる、下位クラブが客の入らないプレーオフを戦わずに済む——そんな理由が挙げられていました。J1(20クラブ、下位3クラブ降格)とほぼ同じ骨格に近づいた、と言えるのではないかと思っています。
2部のプレーオフは、2枚目の切符をかけて
2026-27のチャレンジャー・プロ・リーグは、1位が自動昇格、2位〜5位がホーム&アウェーのプレーオフを戦い、その勝者が2枚目の昇格切符を手にします。下位2クラブは3部へ降格します。U23チームは順位に関わらず1部へは上がれませんが、2026-27からは降格の対象にはなる、という扱いに変わりました。
J2はどうかというと、上位2クラブが自動昇格、3位〜6位が一発勝負のプレーオフ(引き分けなら年間上位が勝ち上がり)で3枚目の切符を争います。だから、J2のプレーオフは「おまけの1枠」なのに対して、ベルギー2部のプレーオフは昇格2枠のうちの半分を決める、かなり重い勝負だと感じています。
ちなみに冒頭の2025-26は、1部が16から18クラブへ増える移行期でした。だから2部から上位2クラブが自動昇格したうえで、プレーオフ勝者ロンメルが1部最下位のデンデルと2試合を戦い、ロンメルが勝って昇格しています。あの年だけの、特別な形だったわけです。
3部から下は、「二つの言語圏」がそれぞれ階段を持つ
3部のディヴィジョン1は、VVとFFAの各グループ優勝クラブが2部へ上がります。ただし、それにはプロライセンスの取得が条件です。2025-26のVV王者ハッセルトは一度ライセンスを認められず、不服申し立てを経てようやく昇格が決まりました。JFLからJ3へ上がる際にJ3ライセンスが必要なのと、構図はよく似ています。
4部のディヴィジョン2になると、各グループの優勝に加えて「期間王者」——シーズンをいくつかの区切りに分け、各区切りで首位だったクラブ——がプレーオフに進む仕組みも登場します。日本の読者の私たちには少し見慣れない形で、ここは私も調べながら「なるほど」と唸った部分でした。
並べてみて、見えてきたこと
こうして並べると、両国ともに「階段の上のほうは総当たりで淡々と、下のほうはプレーオフやライセンスで揺れる」という共通点があるように思います。違うのは、ベルギーが2部の昇格枠の半分をプレーオフに預けていることと、3部から下を言語圏ごとに分けていること。この二つは、この国の成り立ちそのものが階段の形に表れているのではないかと、私は感じています。
次の春、また誰かに「どこが落ちたの?」と聞かれたとき、今度は少しだけゆっくり答えられそうです。